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2017.08.02 TECHNOLOGY

自律分散型ネットワークのススメ ~角川アスキー総合研究所 遠藤諭氏 インタビュー

遠藤論 / 角川アスキー総合研究所 出版・リサーチ事業部 担当取締役 主席研究員

インターネットはどこへ向かうべきなのか。メディア人として、今注目のメディアは? 数々のコンテンツを生み出してきた氏が見つめる、ネットワークの進むべき道とは。角川アスキー総合研究所 主席研究員の遠藤諭 氏への『+VOLVE』特別インタビュー。


インターネットは、もともと分散的なものだった

インターネットは元々、論文を書く時の無駄を省くために、研究者や開発者同士を繋いで、無駄や誤解を省いて生産性をあげるところに意義があったわけです。それは、基本的にはそれぞれが勝手に研究をやっていて、でも相互に繋がっているという構造で、この自律分散という構造がインターネットの特質だったんです。

それぞれは競争しつつ、でも繋がっているから情報を共有できてスピード感が生まれる。それが現在のインターネットのある社会を作ったし、そのインターネットの中で動くのはLAMP、つまりOSとしてLinux、WebサーバーのApache、データベースのMySQL、言語のPHPやPerlやPythonというオープンソースのソフトウェアで、やはり分散的に作られて発展してきました。

それが、大手プラットフォームの出現や、SNSの流行などによって気がつくと、分散的だったはずのインターネットが集中してしまいました。


20億人の一極集中と、その先に待つ社会

WWWの生みの親であるティム・バーナーズ=リーや、TCP/IPの創成に関わったインターネットの父、ヴィントン・サーフは、この状況について「本来、分散型だったインターネットが現在集中し過ぎている。集中し過ぎることでスピードも落ちているし、全体障害が起きやすくなってしまった、人類を良くするための共通で中立なネットワークが損なわれてきている」といった意味の発言をしているんです。

自律分散型は自然界に近くて、部分的に壊れても動くし、強い繋がりもあり弱い繋がりもあり、競争もし、協力もしあう、人間の社会のようなものなのですが、例えばTwitterは4億人のユーザーがいて、Facebookも5月にBBCのパノラマで「Facebookは知っている」という番組が放送されましたが、そこでは全世界で20億人の参加者がいて、米国や英国は2人に1人が使っていると言っていました。こうなると、力を持ち過ぎているという論調も出てきます。一極集中による弊害というのはどうしても出てくるのは事実だと思います。

日本でもマーケティングの根っこの部分をは全部アメリカ系の巨大プラットフォーマーにほとんど押さえられてしまうし、農家もAmazonで種を買う時代なんです。そのAmazonやUberは、いままでネットとは無関係と思われていた人が出向くサービスを広げていく方針を示しています。もちろん、ただ、BBCの番組もそうとらえていたと思いますが、そういう仕組みがいま有効なら、問題になる部分だけをどうにかするといった方向に行かざるを得ないのではと思うんです。経済・社会全体の勢いをなくしますからね。

それでも、ティム・バーナーズ=リーやヴィントン・サーフが言うように、いくら何でも集中し過ぎでしょう、というのはあると思います。だから、今、自律分散型をネットが取り戻すタイミングだし、それを取り戻そうとしている場所に、凄く面白いことが起きているんです。